本を強くする2013/05/13 10:57

手作業でカバーをかけていきます
 本と言っても内容の紹介ではないのですが…パート2。●今日は、業者さんに来て頂いて、「本の強化」をしています。残念ながら幼稚園の本というのは、家庭よりも寿命が短いことが多いのです。それだけ子ども達が頻繁に読む(そして、読む以外の遊び方をしている子もいる…)からです。そこで、図書館などでも行われている「カバー掛け」をしてもらっているのです。思えば結構な量があります。今日は図書コーナーから始まり、明日いっぱいには全クラスの本について終わるだろう、との事。●ちょっと見学させていただいたのですが、その手際の良さに見とれます。丁寧かつスピーディーです。単純作業と侮るなかれ、ですね。専用の機械にも男子としては惹かれるところ。色々聞きたくなるのです(そして、スイッチを入れたくなるのです)が、邪魔にならないよう拝見させていただきました。●ともあれ、これで本の寿命がかなり延びることが期待できます。たくさんの子ども達に本に親しんで欲しいと思います。

会ったことはなくても2013/05/02 18:43

今回いただいた本たち
 本の直接の紹介ではないのですが…。 幼稚園の図書コーナーには、ちょっと特別な本があるのです。それは、園長の友達が「子ども達のために」と寄贈してくれた本です。年に何回か、送ってきてくれますが、全部で30冊近くになりました。彼とは高校時代、3年間だけ一緒だったのですが、気がつけば細く長い付き合いで、もう30年にもなります。
 それぞれの人生を過ごす中で、彼自身に子どもはいないのですが、「子どものために、できること」と考えてくれたのです。
 彼と子ども達は、直接会ったことはありません。しかし、彼の選んだ本を読むとき、彼の願いや想いの一端が、子ども達に伝わっていくことを想像すると、その役に立てている私まで、何だか嬉しくなります。

夫は○と思いなさい。って…2012/11/09 10:03

 幼稚園でも小学生対象に、火曜日行っている「はなまる学習会」。その主宰者である、高濱先生の著書です。文京区私立幼稚園PTA連合会でも以前お話いただいたことがありますが、「講演会に行かれない方のために」というスタートで書かれたのが、この本のようです。
 いやー面白い。語り口とかジェスチャーは入っていませんが、講演会の時よりも具体例が多く、非常に楽しめました。「はなまる」の宣伝をするつもりはないのですが、「ああ、この本で少し楽になるお母さん・お父さんもいるだろうなぁ」と感じます。
 振り返れば、2000年の宮川俊彦先生『ダディ・ストレス』の頃から、家族とか夫婦について色々心配というか考えていたんだな、と改めて気づかされます。もちろん、自分が渦中にあることも含めてですけれど。そういえば『夫が一番ストレスです』という本もあったっけ。でも、その辺りが統合されてきたのが、脳科学の黒川さんや高濱先生なのかなぁという感じです。世の中の「性差を認めない、認めちゃいけない」的な風潮が邪魔をしていると思いますが、「ああ、男ってそんなものなのね」的な諦観(ていかん)が、行き詰まり(息詰まり)を楽にしてくれるのだと思います。
 そういえば、仏教では家庭についての話もあります。「家では妻に実権を持たせるべし」とか。いずれにせよ、「他者理解が心の平穏を生む」ということでしょうか。納得とは違いますが、現実をそのまま受け止めるということですね。

 あら…アマゾンで「家庭生活」部門で第1位になってます~。黒川さんとの対談とか、ないかなぁ。

そう団しよう、そうしよう。2012/10/12 21:38

 先日来、どうも夫婦を中心とした「家族」そのものへの視点関心というか、向き合うことができるようになってきました。
 現場としては、私自身の家族がある訳ですが、「幼稚園が、子どもを育てるだけではなく、家族そのものが育っていく触媒になれないだろうか」というような問題意識です。そういうのがあると、本屋さんでも自然と関係するものが目にとまるのですね。先日ご紹介した団士郎先生の『家族力×相談力』が、なかなか面白かったです。先生は元々、不登校とか問題行動と言われる子どもの家族に関わってこられた方で、その経験から、家族にとっての危険なコース・黄色信号のようなものを読み取り、いくつかのストーリーと回避策を述べられています。「ウチも該当するんじゃないかな…」と、おっかなびっくりだったのですが、「これが黄色信号だよ」と示してもらった事で(そして、自分が納得したことで)、回避していこうという決意ができた気がします。

思うに、吉田先生の講演にしても、団先生の提案にしても、昔は近所のおじさんやおばさん、年老いた父母が諄々と諭していたことではないでしょうか。それが断絶して、今の苦しみが一つ増えているような気がします。ああだから、私も老後は「小うるさい爺さん」になり、死んだ後に「そういえば、昔から耳にたこができる位、言っていたなぁ」と思われたいです。「夕日、きれいだね」が伝わるまで800回ということを思い出せば、遥か長い道のりですけれど。

ソーシャルキャピタル論2012/09/25 15:21

日本プレイセンター協会HP
ご縁があって(著者の方が私の妹と同じ名前です)、佐藤純子『親こそがソーシャルキャピタル』を読んでいます。日本では馴染みがないですが、「プレイセンター(この名前だけでは何がなんだか;^^)参加者を中心」にまとめられた本です。プレイセンターは従来の日本の「子育て支援」とは方向性が全く違います。子育ての主体たる親を「お客さん・サービス受給者」と見てきたのが、今までの施策で一貫して行われてきたことです。給付金の類やサービスの拡充というのは、みんなそれですね。
 そうではなくて、「プレイセンターでの活動を通して、親が親として社会に供給する側に立つ」という図式を、ここでは試みています。イヤ本当に画期的です。私もいつか、こういった仕組みを提供できないかな~と漠然と思っているのですが(幼稚園としての枠ではないので、私としか言いようがないのです)、今までの「子育てをする人がお客さん・受益者」という見方・扱いに慣れてしまっている人・社会ではなかなか難儀なのだろうとは思います(だから、あまり多くないし、継続も難しいのでしょう)。ただ、著者の先生は板橋の学校でお勤めされているので、お話を伺う機会は作れそうな気がします。スグとは言えないけれど、「子育てそのものを社会がどう見るか・扱うか」についてはベストな仕組みである予感がしています。
まだまだ勉強中。

脳科学再び2012/08/26 15:16

この間、DVDを見てから久しぶりに脳科学への興味が湧いてきて、黒川伊保子さんの本を何冊か求めました。で、最初の読んだのが『夫婦脳』。無意識で、つまり生物として惹かれる要素と、価値観や「考え方としての相性」は真逆であるとか読んで、妙に納得したりしました。まぁそれはさておき、男の脳と女の脳は、右脳と左脳を繋ぐ脳梁の太さがかなり違い、そのために(それだけの違いで)お互い得手不得手があって、そこに男女のすれ違い(すれ違わざるを得ない)事態が生まれているというのです。成る程そうであるならば恋の時期をすぎて落ち着いてくると、みな一様に「だから男って…女って…」という話にもなるし、「母親だからできること、父親だからできること」という講演が共感をもって受け入れられるのですね。で、ネタばれゴメンナサイなのですが、お母さんがすぐに声を荒げる訳が解りました(男は共感できない事態ですが)。脳梁は左右の脳を繋いでいて、つまり連携がすごくいいのです。だから、起きた感情(右脳)がすぐ言葉(左脳)になって発散されるのですね。それでスッキリして落ち着く(多分)。かの本によれば、一日に二万語は話さないとストレスになるようです。男脳は、それよりも「鈍感力…と書いてあった」を持っているので、言わば「小さなことにアタフタしない」で、「言ってるばかりではなく、具体的に何か手を講じなよ」とか言ったりするわけです。男の子が、怒られて黙ってしまうのも、この辺りが原因のような気がします。気持ちは動いていても、それをすぐ言葉にする連携力が弱いのですから。だから「男の子には、時間をかけてあげましょう」となる訳です。空間認知や大枠で捉えるのは男脳の方が得意ですから、きっと親の愛に気づけば(たぶん、やや客観的な形で)応えてくれることでしょう。あ、ご主人もね。

NHKスペシャル「女と男」2012/08/23 21:14

夏休みも残り僅かになってきました。もう少しすると、夏季施設開放の後半が始まります。まとまった時間があったので、以前買っておいたDVDを見てみました(放送は3年前のようです)。いやー、なかなか面白い。人間を生き物の中で捉え、その特殊性や「生きる目的」に合わせてどのように変化(進化)してきたか、その中で「女と男」という違いをどう活用してきたか(すべきなのか)、考えさせられました。◎中でも面白かったのは、アメリカの小学校での試み。読書をするのに、男子は自由な姿勢で、女子はきちんと座って、という区別をして指導していたのが印象的でした。◎というのは、幼稚園の図書コーナーでも、何となく「男女の違い故かな?」という姿を見るからです。これからは、もっと明確な視点を持って観察してみようっと。◎そんな事をはじめとして、なかなか示唆に富んだ内容でした。レンタルにはならないんでしょうけれど、機会がありましたらご試聴をおすすめします。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/090111.html

家族の練習問題2012/08/10 14:16

久しぶりに、本の紹介です。ふと出会ったこの本ですが、なかなかイイ問題がそろっています。それはつまり、究極的に「家族とは何か」を考えることに繋がっていると思うからです。私たちがふだん、子どもと接する時に基準にしているのは、案外「自分はこう育てられた!」という経験だけだったりします。もちろん、色んな本とか講演とかで勉強するのですが、それらを実践するのはなかなか難しい。それは「勉強の場」と「生活の場」という区切り意識が働いているからではないでしょうか。◎しかるに、ここに出てくる様々なエピソードは、それ自身は「他人の話」なのですが、掘り下がっていくテーマが深いので、「自分は、自分なら?」を否応なしに考えさせてくれる気がします。◎ということで、これとても気に入りましたので、何か保護者の皆さんにもご紹介できないかな…と準備しています。「暇だけど読む本が決まらない~」という方は、ぜひ手にとってどうぞ。団士郎『家族の練習問題』(講談社プラスアルファ文庫)です。

愛とか倫理とかの問題2012/04/02 00:32

新年度早々、こんな話題もどうかと思うのですが、震災から1年経って、色々な所で振り返りが為されています。その中でよく出てくるのが「原発問題について、手を付けられなかった」という事です。そこで、本屋さんで2冊を求め、読んでみました。片や『これが結論!日本人と原発』竹田恒泰。これは反原発の本です。一方が『「反原発」の不都合な真実』藤沢数希、これは原発推進と言っていいでしょう。前者は「原発には愛がない」というキーワードで、後者はリスクとコストを観点に話を進めています。「自動車と飛行機、どちらが危険か」という有名な話があります。自動車事故で亡くなる方と、飛行機事故では飛行機の方が圧倒的に少数です。だから「飛行機は安全」というものですが、冷静に(冷徹に?)事を考えていくと、確かに藤沢氏の方が説得力があるようです。しかし震災以来私が感じているのは竹田氏に近いと思います。データだけでなく、経験から語られている所も共感できます。  被爆者を作り続けなければ稼働できない原発。消費地と生産地が離れている故の問題など。技術的な事は分かったとして、その上での選択を我々はしていかなければならないのだろうと思います。結論はもちろん見えないのですが、両者ともに考え方・心の問題としている事やガスタービン発電を推しているなど、共通点も見られます。子育てに寄り添って見れば、片や放射能・片や大気汚染。どちらも避けたい事態です。私としては穏やかにストップしていって欲しいと思います、原発には…。

好きな事はやりたい事2011/10/31 12:30

 先日、本屋さんで何気なく手に取った本、『武田双雲にダマされろ』。これがなかなか面白かったです。やっぱり勢いのある人が書くと、読んでいても勢いがありますね。ちょっとハイになっている所もあるけれど、紆余曲折の人生を歩んでこられたのかな…という感じでした。そこで目にとまったのは「やることが、好きな事になれば幸せだよね」という話。そもそも好きな事ばかりではない人生ですが、「仕方ないから」とか「やらなきゃいけないから」という弱い肯定をして取り組むより、「やることが好きになる」方がずっと将来性がある訳です。そこで思い出すのが絵画の指導。その時々のねらいは色々あれど、共通しているのは「また、描きたいな」という思いで終わらせ(ようとしてい)るところ。「絵が好き」という本質ではないにせよ、「先生に見せたら喜んでくれた」「面白がってくれた」「気に入ってくれた」というのは、必ずやプラスに作用すると思うのです。考えてみれば、幼稚園で起きたことは「なるべく、良かったねというストーリーに持って行く」とう定石があります。このストーリーの集合体を、もしかしたら人生と呼ぶのかも知れません。一部分は辛い・怖いかも知れないけれど、トータルとして「良かったね」、これを忘れずに行きたいと思います。