話の雰囲気を読む2010/11/29 20:48

 何だかこの頃、防備録的になってきた、「今週のお御堂」シリーズですが、今日は「泣いた赤鬼」をやりました。味わい深いというか、なかなかヘビーな話です。子ども達は基本的に笑いたいので、どこでそれが起きるのか、ある程度予測して話しを始めます。今日は、乱暴する青鬼を赤鬼が退治する場面。「だめじゃないか、ポカポカと殴りました」の処で、案の定、笑いが起こりました。しかし!それがすぐに納まったのです。これは赤鬼のことを持ち上げようと、青鬼が最大限「自分を下げ」た場面です。単に「悪いヤツを懲らしめる」場面ではないのです。年長さんは全く「ひっかかり」ませんでした。その雰囲気を察してか、ざわついた子たちもすぐに騒ぎを止めたのです!これは話をしている側としても、ちょっと感動しました。そして最後の場面まで、みんな息を潜めて成り行きを見守ったのです。青鬼の心情を思い、心配する子ども達の気持ちはとても清らかだと感じました。 そして、私が最後に言ったこと。「誰かが辛い思いをした上での楽しさは、手放しで喜べるものではないね」ということでした。「そして、青鬼が戻ってきました」という安易なハッピーエンドはありません。しかしこれは話の中だから受け入れられる結末なのではないかとも思うのです。突き詰めると人生は基本的に辛いもの。それを物語で疑似体験しておくのは、とても大切な事だと思うのです。