お猿の地蔵さん2011/10/24 14:08

 今日のお御堂参りでは、「猿地蔵」のお話をしました。最近、野生動物が迷い込む事件が起きており、子ども達もテレビなどで知っていると思ったのです。昔も畑は動物たちに荒らされていました(農耕を始めて以来の問題でしょうが)。困った村人は、お爺さんを変装させたお地蔵様を建てます。案山子のような役目を期待したのですね。しかし、サルたちはありがたがって、自分達の巣へ運んで行ってしまいます。そこで盗まれた農作物を取り返したお爺さん、村へ帰ってきました。子ども達が面白がるのは、川を渡るときの歌「お猿のおしりは濡らしても、お地蔵様は濡らすなよ」の所で、お話でも欲張りじいさんが笑ってしまい、川に落とされてしまいます。しかしこの話、「猿がお地蔵さんを大切にする」というのが、坊主たる私には結構興味深いのです。仏教も他のあらゆる宗教も、人間が作ったと言って間違いありません。しかし、歴史を経て現代に伝わるまでには、時代時代の変遷に堪えうるものでなければなりません。その過程では、当然変質が起きているはずです(鎌倉仏教・浄土仏教もその類の筈です)。そして、日本の場合は四季や自然現象に非常に近寄っていきました(無常観はじめ)。その一つの表れが「猿もお地蔵さんを有り難がる」なのかもしれないと思ったのです。そして、人間だけでなく猿も「生きること」に悩み・苦しんでいると捉えたのかなと。たしかに、私達も「けだもの」も、生きているのは同じです。お地蔵さんは人間だけの為ではない。そんな大らかな日本の文化を、垣間見た気がします。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック